携帯

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教室に入ったのは8時30分。鐘が鳴ったのと同時。 「セ、セーフ。」 「毎日これは嫌だな。もうちょっと早く起きれないのか?」 そんな雄の言葉をスルーして席に座る。雄も同じクラスで席は隣。 「雨はこれだからやだな。」 雄はびちょびちょな服をタオルで一生懸命ふいていた。俺もそのタオルをとりあげ、自分の服をふいた。 「携帯も濡れてるし。」 「ん?携帯ぶっこわけたか?」 「んなわけあるか~!」 「いや、俺のが…。」 そう言って、雄は携帯を俺に見せてきた。 「ここは山奥やないぞ。」 雄の携帯は圏外だった。俺は自分の携帯も圏外になっていることに気づいた。
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