第十二章 救援

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「でも、だからと言って見捨てることは…」 「馬鹿かお前は…。今の状況が八方塞がりだということに気がつけ。 鍵の所有者すら分からずに、ベルリンの住民全員を守らなければいけない時点で僕たちの敗北は決まっていたんだ。 だが、どういうことか時変者の奴らには鍵の所有者が分かるらしい。しかも、奴らはこれまでの戦いから、狙ってくるのは一般人ではなくノアだ。 僕たちが退却すれば、失うのは鍵だけで済む。 最善だとは思わないか?」 レンはまた黙ってしまった。 何が最善策かなんて分かっていた。 だが、やはりそうですかと納得することはできなかった。 「ふん…まぁいい。まだ経験の少ないお前はたくさん悩むが良いさ。 だが、そのうち気がつく。僕たちは選んだものしか守れないとな…」 セシルは物思いに耽りながらそう言うと、扉の方に向かってあるきだした。 「まぁ…悩んでいるのはレンブラント一人ではないだろう。あの馬鹿コンビもウジウジ悩んでいるに違いないさ。 まったく…未熟者ばかりだな…」 セシルは嫌みを込めてそう言うと、扉を開けて外に出ていった。 「馬鹿コンビ…?」 残されたレンは、セシルの言った言葉よりも、馬鹿コンビという言葉を復唱し、しばらくの間考え込んだ。
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