プロローグ

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ホノルルはオアフ島南岸に位置する都市である。 ハワイ島から四つほど島を挟んだ位置に存在するその島では、観光客は不満を来していた。 何とも、アメリカ政府直々の申し出で、観光客全員がこの島に完全に閉じこめられてしまったのである。 さらに、外部との接触を絶つためにあらゆる交通機関を一時停止させた。 つまり、現在のオアフ島南岸のホノルルは、人工的に作られたクローズドサークル、つまり密室ならぬ密島と化してしまっていた。 観光客と原住民には理由は知らされていなかった。そのことが余計に不満を募らせることになっているのだが、政府も軽々と公表することはできないでいた。 本当の理由とは、ある日突然政府の上層部に出された勧告だった。 ある多大な権力者がアメリカ政府に対してこの命令を下した。 アメリカ政府の上層部の人達も、この権力者が率いる集団がこの世界の平和と均衡を保っていることを知っていたために、突然の申し出も断るわけにはいかなかった。 その集団とは、遥か昔から人知れず世界を守護してきた、異端の力を得た人達の集まり、“ノア”である。 彼らの取る行動は最優先事項だと、全世界で暗黙のルールになっているため、今回のホノルルの件は致し方ないものであった。
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