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「大丈夫ですよ…。屑桐さんはすぐにアースリィホームに戻って来られるのでしょう?
そのころには天野さんもきっと目を覚ましています。何も問題ありませんよ」
「そうだな…ヘンリーの言うとおりだ…」
空は自分に言い聞かすようにそう言うと、搭乗口に繋がる階段を歩いていった。
階段の半ばあたりに差し掛かったとき、空はもう一度ヘンリーの方を振り返った。
「ルーとリムにちゃんと伝えてくれよ?あと、紗希をよろしく!」
空はヘンリーが深く頷いたのを確認して、再び階段を上りだした。
機内は二人で乗るには大きすぎるもので、空がパッと見ただけでも席は五十は越えていそうだった。
空が少し驚きながら足を進めると、席の中腹あたりに由真が座っていて、空に向かって手を振っていた。
「ヘンリーと何話してたの?」
空が由真の隣に座ると、由真はまるで準備していたようにそう尋ねてきた。
「ん?紗希のことと…ルーとリムへの伝言のことだよ…」
ここに来たときとは違い、左に誰もいない状況を少し寂しく思いながら、空は答えた。
「ホントにあんたは人のこと優先して行動するわよね…。それで損したこと無いの?」
由真は呆れながら空に尋ねた。
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