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「行っちゃいましたか…」
ホノルル空港に一人残されたヘンリーは、離陸していった飛行機が消えるまで空を見上げていた。
月に少しだけかかった雲が移動し、月が姿を現した。
きれいに半分になった月がすでに暗くなったこの島を照らしていく。
飛行機が空へと消えていき、ヘンリーがリゾートホテルに戻ろうと後ろを振り返ったとき、前から二つの影がこちらに向かってきているのが見えた。
ヘンリーは足を止め、その影がヘンリーの前で足を止めた。
「はぁ…はぁ…ヘンリーさん!!空兄と由真姉は!?」
「…お兄ちゃんは…?」
二つの影はルーとリムだった。
走ってきたらしく、肩で息をしている。
「たった今出発したところですよ…タイミングが悪かったですね…。
すみません、私がもう少し時間をかけていたら…」
「いや…ヘンリーさんのせいじゃないよ…。でも…ちょっと悲しいな…」
空たちが既に出発してしまったことを知ると、ルーたちはひどく肩を落としたようでその場に座り込んでしまった。
「…お兄ちゃんと…お姉ちゃん…どこ行ったの?…」
「援軍としてベルリンに赴いていただきました。
正直、この島よりも戦況は悪いですね…」
ヘンリーがそう言うと、リムは今にも泣き出しそうな顔で俯いてしまった。
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