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『あなたは戦闘に快楽を覚え、自己の理性を保てなくなる傾向がある…。
あなたが快楽に溺れれば、必ず我々にとっての損害が現れる…』
『回りくどい言い方は止めろ。もっと簡潔に話せ』
『………』
話を遮られ、眉を少し上につり上げたレラジェは、軽く俯きため息を吐くと、もう一度アシュタロスと向き合った。
『…雷帝、及び紅蓮の鉄甲、終焉の氷姫を殺すことは許さない』
レラジェはそう言うと握った鎌に力を込めた。
『…あなたにも理由は理解できるはず。この三人を失えば…』
『確かに、そいつらを失えば鍵を集めている意味が無くなる。そんなことは我とて分かっている。
だがレラジェ…貴様が言う理由と思う理由とでは違うのではないか?』
アシュタロスが自信ありげにそう言うと、レラジェの眉がまた少し上がった。
『紅蓮の鉄甲と終焉の氷姫の件は分からんが、雷帝は…大方あの約束のことだろう?
まったく…貴様は何も成長していない。それどころか…貴様は堕落している』
『…あなたの勝手な憶測などどうでもいい…私は…』
『貴様がノアを殺さないのが何よりの証拠ではないか。
雷帝と出会ってから…そして、炎神を殺してから…貴様は弱くなった』
アシュタロスはそう言うと、黙って聞いていたレラジェの目元にレイピアの先端を突き刺した。
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