第十一章 金色の鎧騎士

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アシュタロスはそう吐き捨てると、レラジェの隣を通り過ぎてさらに足を進めていった。 レラジェは何も言い返すことなく、その場でアシュタロスの言葉を胸中で何度も繰り返していた。 『レイン…私は…間違っている?』 この場に一人取り残されたレラジェは、虚空に呼びかけた。 返って来るはずのない声を待っているかのように、レラジェは上を見上げて立ち尽くしていた。 一方こちらは現実世界にあるドイツの北東部にあるベルリン。 ベルリンは人口が三百万を越える大都市である。 冷戦時代には東西に分かれたドイツは、西ベルリンと東ベルリンとの間に巨大な壁、ベルリンの壁を作り、人々の心にも大きな壁を作ることになった。 しかし、現在はドイツも統一され、活気あふれる町へと変わっている。 そのせいか、ベルリンには巨大な空港が三つほどある。 旧西ベルリン地域のベルリン・テーゲル国際空港に、テンペルホーフ空港、旧東ベルリン地域のシェーネフェルト空港だ。 観光名所も数多くあり、ベルリン大聖堂やシャルロッテンブルク宮殿などの見るものを感動の渦に巻き込むような素晴らしい建造物が並んでいる。 だが、そんな街並みにも、漆黒の空からくる影響は出ていた。
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