第十一章 金色の鎧騎士

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歴史的建造物には大小様々なひびが入り、空間が歪み始めている。 現実世界のベルリンにいるノアももう数えるほどしかいなくなっていて、戦況は最悪と言えた。 退却を要請しているノアもいたが、今指揮を執っているセシルの説得でなんとかこの地にとどまっているという危険な状況であった。 そんななか、ベルリンのちょうど中央に置いた本部の中で、セシルはひとりの蒼髪の少年と話をしていた。 「レンブラント…この戦い…僕たちが勝てる見込みはどれほどだと思う?」 セシルは自分の武器である二丁拳銃を念入りに磨きながらレンブラントと呼んだ少年に尋ねた。 「おそらく…限りなくゼロに近いでしょうね…。 何故なら士気が下がりすぎですから…。ただでさえ不利な状況にあったのに、これでは勝てる戦いも勝てませんよ…」 レンブラントは少し俯きながら答えた。 実際、ノアたちの士気が下がったのはシャルディがノアの小隊を葬ったことから始まっていた。 このことがどれほどノアたちにとってショックな事件なのかは、シャルディの功績をよく知るものにはよく分かることだった。 質問を投げかけたセシルもシャルディの功績をよく知るものの一人である。
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