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「くっ…あの腐れ金髪が…ノコノコ現れたかと思えば…」
セシルはシャルディの姿を頭に想い描き、苛立ちを覚えた。
セシルとシャルディは同年代ということで接する機会も多かった。
しかし、少々神経質なセシルと、マイペースのシャルディとでは馬が合うわけはなく、ほぼ犬猿の仲のような関係になってしまっていた。
「セシルさん…ここは押さえて下さい。シャルディさんの件は誰も予測できませんでした」
「予測できないなんて理由にはならない。現に僕たちは負けているんだ。理由がどうであれ、結果がそうなったのは仕方がない。
それは分かってはいるのだが…」
セシルはあまりの怒りに二丁拳銃をテーブルの上に置き、空になった手で壁を思い切り叩いた。
「何よりシャルディに出し抜かれたのが異様に腹が立つ…!!」
「セシルさん…」
レンブラントは厳しい戦況の中でも生き残ってきた。
だからこそ分かったが、
この戦いは負ける。
セシル自身もそれは心のどこかで気付いていそうではあったが、レンブラントはそれを口に出せずにいた。
口に出してしまえば、その時点で終わりな気がしていた。
最悪の状況の中で、セシルはそれでも活路を見いだそうと努力していた。
ベルリンの空は、すでにオレンジ色へと変わってしまっていた。
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