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「お世辞じゃないと思うけどな…」
由真の隣で、空はそう言いながら欠伸をした。
もう離陸から数時間もたっていて、時差はあるが普段なら寝ている時間である。
さらに疲れも出てきているため、睡魔は随時襲ってきていたのだが、由真が眠くないと言っていたため、空も由真との会話に付き合っていた。
そして空のその言葉を聞き、由真の肩がピクリと動いた。
「ど…どういうこと…?」
「いやさ…俺もまだ由真のことあんまり知らないけど……何というか…由真が戦ってる姿って…カッコいいんだよ…。
それに…綺麗だし…優雅って言うのか…?そんなかんじ…」
空は恥じらいもなくそう言うと、また欠伸をした。
一方の由真というと、思いがけない事態に動揺してしまっていた。
(綺麗…ってどういうこと…?戦ってる姿の話?それとも…)
空の言葉が脳内で繰り返される。
空に対してカッコ悪いところしか見せていないと悩んでいた由真にとっては、言われて不快になるような言葉ではなかった。
(でもカッコいいって…せめてカワイイに…って戦ってる姿がカワイイのはダメね…。
それに、カッコいいって言ったら空の方が…)
紛いなりにも褒められた以上、褒め返すのも一種の礼儀だと由真は解釈し、軽く深呼吸して呼吸を整えると、口を開いた。
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