第十二章 救援

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「ッ!!」 空は突然目を見開き、寄りかかっていた背もたれから背中を離して、ようやく今見た光景が夢だったということを理解した。 「ハァ…夢か…」 空は荒れた呼吸を整え、もう一度背もたれに寄りかかった。 体は汗をかいていて、前髪も額に張り付いている。 窓の外を見てみると先ほどとは違い、日の光が入ってきていた。 (何だったんだ?あの夢…。レインと…誰だっけ…?) 空は夢の内容を思い出そうとしたが、すでに記憶は薄れ始めていて、大まかな事しか思い出せなかった。 (でも…レインの夢を見るのは久しぶりだな…。 それに…あの女の人…死んだのか…?) 空は夢で見た赤髪の少女を思い浮かべた。 こちらも顔や姿はぼんやりとしていたが、酷い傷を負っていたことは思い出せた。 しかし、そこまで思い出すと、以前のような頭痛が空に襲いかかった。 発源の力を得る前のストロスとの遭遇の時までとはいかないが、思わず歯を食いしばってしまうほどの痛み。 (頭が痛むってことは…あれはレインの記憶なのか…? だとしたら…何で今…) しばらくすると頭痛は収まり、汗も引いていった。 ただ疑問だけが胸の内に残り、空は頭を掻いた。
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