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由真は数秒間空のことをじっと見ると、ようやく脳が覚醒してきたようで、一気に顔を赤くした。
「あ…あんた…いつから起きてたの…?」
「いつって…もう起きてから三十分は絶対たったな…」
「なっ…何で起こさないのよっ!!」
すると由真は勢いよく立ち上がろうとした。
しかし、腰に巻いたシートベルトが邪魔をしてうまく立てずにまた座り込んでしまった。
「そんなこと言われても…あんなに気持ちよさそうに寝られたら起こせないだろ?」
空がそう言った瞬間由真はさらに顔を赤く染めた。
「っ…!!ってことは…見たのね…?」
「…何を?」
「私の寝顔よ!!」
由真は恥ずかしさを紛らわすかのように大声でそう言った。
「見たけど…」
「見たのねっ!?忘れなさいっ!!今すぐっ!!」
空の返事を確認した瞬間、由真は空の肩を掴んで自分の方を向かせ、まるで催眠術にでもかけるかのように何度も空に言い聞かせた。
「あぁ~っ!!一生の不覚だわ…。恥ずかしくて顔から火が出そうよ!
もう…起きるなら起きるって言ってから起きなさいよね!!」
「それ難しくないかな…?」
空も由真の迫力に気圧されるかのように苦笑いをしながら由真の言葉を受け止めていた。
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