第十二章 救援

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「あ~…まったく…最悪な目覚めね…変な汗かいちゃったわよ…」 「別に寝顔見られたくらいで…」 「そのことは忘れなさい?」 由真は右の拳に紅蓮の炎を纏わせて笑顔で空に言った。 「あはは…忘れました…」 そのあまりの迫力に、空はそれ以上何も言えなくなり、苦笑いをするしかなくなってしまった。 「ところで…ここどこだ?」 由真が落ち着いたのを見計らって、空は少し前から疑問に思っていたことを尋ねた。 「どこって…子供じゃないんだから…。それに、前の方に地図と現在地が映されてるでしょ…?」 由真は呆れたようにそう言うと、前方にあるスクリーンを指差した。 空はそのスクリーンを少し立ち上がりながら見てみたが、ベルリンがドコにあるのかが分からないことに気がつき、再び腰を下ろした。 「何?どうしたのよ?」 「いや…ベルリンの場所が分からないし…その周りの国も全く分からなくて…」 「はぁ…あんたって…ダメなところは本当にダメなのね…」 由真は再度呆れたようにそう言うと、立ち上がって前方のスクリーンに映し出された地図を見た。 すると、飛行機はちょうどチェコの上空あたりを飛んでいて、もう降下を始めていることが分かった。
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