第十二章 救援

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「それで?これからどうするんだ?」 空港の外に出て、空は第一にそのことを聞いた。 今回はハワイ島の時とは違い、ヘンリーのような迎えが来ていなかった。 「う~ん…とりあえずオルスカに連絡しときましょうか…?」 由真の提案に空も頷き、由真は自分の通信端末を取り出してオルスカへ連絡を試みた。 通話ボタンを押し、数秒たたないうちにオルスカは出た。 《由真か?》 「えぇ…。今…何だったかしら…ベルリン・テーゲル国際空港?を出たところよ。 それで?私たちはこれからどうすればいいの?」 《そうだな…その前に、これからの方針を簡単に説明しなければならないな… 今回このベルリンでの戦いは、残念ながら我々の敗北だろう。そこで先刻セシルにも通達したが、任務の内容を鍵の守護から撤退に変更した 一般人への被害を最小限に抑えつつ、ノアの命を最優先とする…というのが今からの方針だ》 由真はあまりに突然のことで一瞬固まってしまっていた。 飛行機の中で、自分たちがあれこれ悩んでいたことが、こうも簡単に方針として定められてしまったことに驚いていた。 「その様子だと…変更は無いみたいね…」 《あぁ…これは決定事項だ》 そう言ったオルスカの声にも、つらそうな響きがあったことを、由真は用意に感じ取ることができた。
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