第十二章 救援

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「言ったろ?由真に着いていくよ。俺…薄情かもしれないけど…気がついたんだ」 そう言うと空はまっすぐに由真を見つめた。 「例えば、今世界中の人が一斉に銃口を突きつけられたら…俺が助けられる人は数少ない。 まだ未熟な俺では救える人なんてたかが知れてたんだ…」 「…そうね…。世界中の人を助けるなんて、口で言うのは簡単だけど、実行することはほぼ不可能よ…。 欲張りすぎると自分を滅ぼすわ」 「あぁ…。だからといっても助けられた人を助けないなんてことは絶対にしたくない。 だから俺は、精一杯戦うことに決めた。 敵を減らすことが、そのまま誰かを助けることに繋がる。そう思ったんだ」 空の瞳には迷いはなかった。 きれい事だと言われるかもしれない。 薄情だと罵られるかもしれない。 空自身もそれを理解していた。 結果誰かを見捨ててしまうことも、自分のその決意で迷惑をかけてしまう人がいることも、全て分かっていた。 それでも空は自分で考え、そして自分なりの考えを最も信頼できるパートナーへと告白した。 「…あんたらしいわね…。簡単に一番困難な道を選ぶんだから… それに、その言葉…紗希が聞いたら飛びついてくるんじゃないかしら…?」 そう言った由真の表情は、どことなく嬉しそうだった。
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