第十二章 救援

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「どうして紗希が…?」 「あんたの今の言葉…雷帝が言った言葉によく似てるのよ…。最も、対象が違うんだけどね…」 由真はそう言うと、静かに息を吸った。 「ー僕は無力だ。この地に降り注ぐ全ての災厄をぬぐい取ることなどできない。 しかし、僕は誓おう。共に歩む仲間、最愛の君だけは守り抜くことをー まぁ…実際こう言ったかどうかは分からないけどね…。 雷帝レインは、炎神ルーシアにそう言ってプロポーズしたらしいわよ? 最も、炎神ルーシアはその後しばらくしてレラジェに倒されちゃったみたいなんだけどね…」 由真の言った言葉が、空の胸に深く刻まれた。 どこか暖かく、どこか悲しい。そんな響きだった。 「…何か興味深いな。ノアの歴史のこと…俺はもっと知るべきなのかも」 「だったら、この戦いが終わったらアースリィホームの資料館にでも行ってみれば?腐るほど歴史書があるわよ?」 「そうだな…そうするよ」 由真は冗談半分で言ったつもりだったのだが、空はまじめに受け止めてしまった。 しかし、今さら期待を損なうようなことは言えないので、由真はこの戦いの後に資料館に籠もりっぱなしになるだろうことを覚悟した。
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