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「じゃあ…また負けちゃいけない理由が増えたわね…。
本部に戻ってノアの歴史を学ばなきゃならないし、ルーとリムと一緒に修行しなきゃならないし、咲夜ちゃんを助けなきゃならないし、紗希が目を覚ます前に本部に帰らなきゃいけない。
大丈夫?そんなに約束しちゃって…」
「大丈夫だよ。由真だっているし、それに…負けられない理由があった方が強くなれる気がするから」
空は笑顔でそう言った。
その空の決意が、由真に安心感をもたらした。
根拠はなかったが、空ならば大丈夫。そう思えた。
「だったら私が言うことは何もないわ。
まったく、あんたといると退屈しなくて良いわね」
「俺だって…由真といるようになってから世界が変わったよ」
お互い嫌みを込めながらそう言い、一拍間を空けて二人とも笑い出した。
お互いがお互いに近づけた。そんな気がした。
「そうと決まればさっさと行くわよ?」
「おう……どこに?」
「ドイツ支部よ。ここから10キロくらいにあるの」
由真はそう言って準備運動を始めた。
「えっと…もしかして…」
「えぇ。走っていくわ。だって私たちユーロ持ってないじゃない」
「ははは…やっぱり退屈しないな…」
空は苦笑いしながら由真と一緒に空港前から走って移動していった。
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