第十二章 救援

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「それじゃあ僕はこの地域の時変者を倒しに行ってきます。一時間もすれば戻ってこれると思います」 ドイツ支部の一室で、セシルの話を聞き、オルスカの方針の話を考慮した考えを述べ終わったあと、レンはそう言って立ち上がった。 その手には琥珀色の錬玉を持ち、体にはノアの戦闘装束を纏っていた。 動きやすさを重視したレンの服は、袖も裾も短くなっていて、マントもなかった。 「あぁ…頼む。僕もこの方針をここの奴らに知らせたらすぐに向かう」 セシルも錬玉を持ち、レンと同じように立ち上がった。 「セシルさん…今回の鍵の騒動…時変者たちは少々力を入れすぎだとは思いませんか…? この地の時変者は大戦並みです。やはり、鍵はとても重要なものなのでは…」 「だからと言って僕たちにどうしろと言うんだ? 鍵を守るために死ぬ気で戦えと? 確かにそれは名誉なことかもしれないが、わざわざ勝つ可能性を捨てるほど価値があるとは到底思えないな。 僕たちノアが一人死ぬことでどれほどの影響を及ぼすことになるか…お前なら分かるはずだと思ったんだが?」 セシルの言葉に、レンは黙ってしまった。 それが正しいことだし、何より命令である。従わなければならなかったが、レンはどうも割り切れないでいた。
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