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「翔君、よろしくねぇ」
笑顔で挨拶してくる遥先生。
翔の頭の中では、その画像を保存しようと、必死にニューロンが働いていた。
「よっ、よろしくです!!!」
声が裏返りかけていた、翔だった。
そして、自己紹介は続く。
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「中村律子です。みなさん、よろしくお願いします」
律子は丁寧にお辞儀する。
「「オオッーー」」
それとほぼ同時に、男子が一斉に声をあげた。
女子の方からの反応も暖かい。
(ふふっ、男子って可愛いわねえ。女子だってちょっと恋愛相談にのってやれば簡単に…………ん?)
律子は笑いながら、違和感を覚える。
男子の中に1名、自分を無視してる奴がいた。
(あれは……藤井翔、だったかしら?)
さっきから先生ばかり見ている翔は、他の人の自己紹介など全く聞いていない。
(なにアイツ。この私を無視? ……上等じゃない)
笑顔の裏で、ニヤっと笑う律子。
(可愛いなあ、遥先生)
頬杖ついている翔の目の先には、律子の姿はなかった。
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こうして、翔の生活が始まる。
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