翔編①

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「翔君、よろしくねぇ」  笑顔で挨拶してくる遥先生。  翔の頭の中では、その画像を保存しようと、必死にニューロンが働いていた。 「よっ、よろしくです!!!」  声が裏返りかけていた、翔だった。  そして、自己紹介は続く。 ・ ・ ・ 「中村律子です。みなさん、よろしくお願いします」  律子は丁寧にお辞儀する。 「「オオッーー」」  それとほぼ同時に、男子が一斉に声をあげた。  女子の方からの反応も暖かい。 (ふふっ、男子って可愛いわねえ。女子だってちょっと恋愛相談にのってやれば簡単に…………ん?)  律子は笑いながら、違和感を覚える。  男子の中に1名、自分を無視してる奴がいた。 (あれは……藤井翔、だったかしら?)  さっきから先生ばかり見ている翔は、他の人の自己紹介など全く聞いていない。 (なにアイツ。この私を無視? ……上等じゃない)  笑顔の裏で、ニヤっと笑う律子。 (可愛いなあ、遥先生)  頬杖ついている翔の目の先には、律子の姿はなかった。 ・ ・ ・  こうして、翔の生活が始まる。
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