91人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、長瀬君。今一人?」
守がふと見ると、隣に操が立っていた。
「まあ、一人ですが」
「じゃ、一緒にお昼食べよ!」
「……なぜ?」
守は単純に疑問に思った。
あれから、なんとなく気まずい雰囲気になってたからだ。
「いっいや、あのさ。ほらっ、朝は指差して悪かったなあって」
それとご飯を一緒に食べるとに、なんの関係があるのか?
守はまた疑問に思った。
「……まあ、いいですよ」
しかしそれほど悪い話でもないので、守は承諾することにした。
「良かった。じゃあ屋上行こ!」
なぜか嬉しそうな操とは対照的に、守はよく分からないまま、お昼を一緒にする事になったのだった。
・
・
・
新学期だからか、屋上は珍しく無人だった。
常連すら見当たらない。
「あははっ、守君面白いね」
「いえ、操さんが笑いすぎなのでは?」
守と操は2人っきりだった。
最初はぎこちなかったが徐々に打ち解け、話もできるようになってきた。
そして、いつしか互いに名前で呼び合うほどになっていた。
「へぇー、守君彼女いないんだ。ホストみたいなのに」
「ホストは余計です。生憎、私のそばにいるのは変人ばかりでしてね」
「あっ、ひどーい。あたしは普通ですよ~だ」
「いや、朝のあの事を考えれば……」
「うぐっ! ……あっ、あれは、先生が悪いんだよ」
操はよく笑い、それにつられてか、守もいつも以上に笑顔だった。
そうして、2人は昼休みが終わるまで話し込んでいた。
(こういう事も悪くないですね……)
守はいつしかそう考えていた。
・
・
・
やがて昼休みも終わり、2人でクラスに戻ると、何人かが寄ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!