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「ちょっと男子! 紗耶香ちゃんが、怖がってるじゃない!!!」
「そーよ、そーよ!」
「勝手にファンクラブなんか、作るな!!!」
女子による攻撃が始まる。
「なにを! 我々は、ただ紗耶香ちゃんを守りたいだけだ」
「そうだ、他の女は引っ込んでろ!!!」
負けじと男子が応戦する。
男子vs女子となり、クラスが2つに分かれた。
「みんな元気で、いいわねぇ~」
既に定年のはずのお婆ちゃん先生は、笑顔でその様子を見守っている。
「山下一です。よろしく……」
そんな中、一は自己紹介する。
クラスメイト達は、教室の中で右と左に分かれ、睨みあっていた。
紗耶香だけが、キョトンとした顔でそれを見ている。
いつの間にか、お婆ちゃんは眠っていた。
「……いや、もういいです……」
一は席に戻った。
「いいんだ……いつものことなんだ……」
そして机に伏せて、うるさい喧騒を耳にしながら沈んでいた。
「あっ、あの。よろしくね」
びっくりして顔を上げると、前の席の紗耶香がこちらを向いていた。
「こっ、こちっ、こちらこそ、よっよろしく」
「……ふふっ」
上擦った声で答える一と、微笑む紗耶香。
「え?」
「あっ、いや……山下君、変な顔になってるよ?」
「あっ、ええっ!!! あっと、その……」
必死にあれこれ顔をいじる一。
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