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「やっぱり無理ですね、警視‥‥。これ、単なるメモじゃないんですか?」
後ろから中西 登(なかにしのぼる)刑事が諦めたように言う。いつの間にやら周りを取り囲んでいた捜査員も落胆した様子でため息をつく。
「なるほど、そういうことか」
その時、私はこのメモの解読方法に気付き、内海刑事とは逆側の真横に立っていた部下の藤堂 耕介(とうどうこうすけ)警部に事情を説明し、その被疑者に事情を聞くように頼んでから机に向き直った。
「さて、解読方法は意外に簡単なんだよ。意外な盲点だけどね。まず、失踪した社員が残したメモに書かれている都道府県名を県庁所在地に読み換えるだろう?」
両側で内海刑事と服部刑事がうなずく。背後にいる中西刑事も含め、取り囲んでいる捜査員も合わせてうなずく。
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