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後部座席を振り返ると、カメラをはじめ色々な機材、スーツや毛布などが積み込まれていて、確かに狭い。
…毛布?
「リョウタさんって、車で生活しているんですか?」
すると彼は苦笑する。
「あぁ、毛布?寒い時に膝にかけたり、仮眠をとったりする時に便利なんだ。ちゃんと毎日家には帰ってるよ」
そして「一応営業職だから身だしなみは整えないとね」と笑った。
その会話をしているうちにも私がシートベルトを締めたのを確認し、車をバックさせる。
ステレオからは最近発売されたアーティストの曲。
「あ、この曲好き」
私が呟くと、前を向いたまま彼が微笑った。
「ホントに?俺もこの曲聴いて好きになったんだ。アルバム買った?」
私が首を振ると彼は「MD聴ける?」と。私が頷くと、また微笑う。
「じゃあ、今度録って渡すよ。俺買ったから」
その言葉が嬉しくて。
「ありがとうございます。嬉しいです」
素直に声に出して言うと、子供みたいな笑顔をする。
「なかなかそんな事言われないから照れるよ」
彼の新たな一面を見つけたのが嬉しくて、顔が自然と笑顔になる。
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