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そうしている内に辺りは暗くなり、車は林の中に入っていく。
「心配?」
私の心を見透したようにリョウタさんが尋ねてくる。
「…ちょっと」
答えると声を出して笑われた。
「大丈夫、信じて。変なところに連れて行くつもりはないから」
彼が優しく笑うので、妙に安心してしまった。
林を抜け、小高い丘を登っていく。すると1軒の木で出来た可愛らしいお店が見えてきた。
リョウタさんはお店の真向かいにある、車が3台も止まったらいっぱいになってしまいそうな砂利の駐車場に車を止める。
「お待たせ。ユリちゃんにはこのお店の取材の手伝いをして欲しいんだ」
え…!
「私、無理です。取材なんてやった事ないし…」
助手席に座ったまま俯くと、ポンと肩を叩かれた。
「大丈夫だよ、難しい事を頼みたい訳じゃないんだ。ただ、俺と一緒に食事をして、女の子としての意見を教えて欲しいんだ」
見上げると、リョウタさんの真剣な瞳と目が合った。
その瞳が、仕事に対しての一生懸命さを物語っている。
「わかりました。私に出来るかどうか分かりませんけど、やってみます」
私の答えにまた笑ってくれた。
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