第一話 内気少女

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振り向くと、若い男の人は笑顔を浮かべていた。 悪意がある訳では無い、自然な笑顔。 「君ってよくこのコンビニ来てるよね」 今時珍しく、短い黒髪の彼はゆっくりとこちらに歩いて来る。 私が不思議に思いつつ頷くとその人は私の前で止まる。 「何度か見掛けた事あるよ。俺もここの常連なんだ」 人懐っこい笑みを浮かべる彼は若いけれど、高校生ということはなさそうだから、私より4、5歳程上だろう。 右手を見ると、あ…、一緒。 手に握られているのはレモン味の炭酸ジュース。 彼も私の視線に気付いたらしい。 「これ、おいしいよね」 にこ、と笑われて、しどろもどろになりつつ答える。 「まだ…飲んだ事なくて。…おいしいんですか?」 尋ねると、ちょっと吹き出された。 「…ごめん、あまりにも警戒されてるみたいだから、つい…。ごめんね」 クスクス笑った後「俺もこれ、昨日初めて飲んだんだよね」と。 こんなに笑われても不快感を覚えないのは、彼の人柄と私の緊張のせいだろう。
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