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今日の帰りも、あの時間にコンビニでうろうろしてしまう。
20分もすれば、店内はすべて見られてしまう。立ち読みでもすればもっと待つ事はできるけど、『立ち読みお断り』の札を見て断念。
しかたない、帰るか…。
昨日と同じ、レモン味の炭酸飲料を買って外へ出る。
「あ、ユリちゃん」
声を掛けられ振り向くと、軽自動車に乗ったリョウタさんが。
「リョウタさん!」
思わず声がうわずってしまう。
…恥ずかしい。
俯くと、車を降りたらしいリョウタさんが前に立つ。
「また会えて嬉しいよ。今日も今帰り?」
俯いたまま頷いた。
「じゃあ、暇だったりする?」
「えっ!」
顔を上げると、彼と視線があう。まっすぐで強い瞳。
「もし暇なら、ちょっと付き合って欲しいところがあって」
ふっ、と彼が視線を外して微笑う。一瞬、自分の呼吸が止まっていた事に気付いた。
「あ、暇です…けど…」
またうわずりそうになる声を必死に普通の声色に戻そうともがきつつ、やっとのことで答える。
…リョウタさんとはもっと話したいけれど、良いのかな…。昨日知り合ったばかりの人だし…。
そんな複雑な私の心境を察したのかリョウタさんはまた微笑った。
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