旅人のメロディー

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旅人たった独りで旅をしていました。 彼には口ずさむ言葉も、メロディーもなかったのです。 荒果てた道を行くときも、広大な海原を臨むときも、彼の唇は言葉を紡がず、ただ沈黙の中を歩いていたのです。 やがて日が暮れて、旅人が足を止め目を閉じました。 さぁ、耳を澄ませてご覧なさい。 今聞こえているのが、あの旅人が持つ唯一のメロディーなのです。
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