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部屋の鍵を刺して、ドアを開けて。
中に誰も居ないのに…ただいま、と独り言の様に言うと何だか虚しくなる
家に入って鍵を掛けて靴を脱いでリビングに行くと、買ってきた服や靴の入ったショップ袋をソファーの上に投げて、自分のバックも一緒に投げて
文房具屋さんで買ってきたレターセットだけを抱えて筆記用具を持ってきて机の上に置いて、ペンを握って便箋と睨めっこが始まった
『まず…初めまして。とか入れた方がいいかな?』
とか独り言を言いながら悪戦苦闘しながら便箋と睨めっこ
便箋と睨み合って約二時間……
『書けたぁあ!!』
そう、私が叫びながら立ち上がる
手には手紙を持って。
『プリクラ貼っちゃおうかな~』
ノリノリで私は彩音と一緒に写った、自分が一番可愛いと思われるプリクラを選んで…自分のアドレスと電話番号が記入されている上の方に貼り付けた
『あ、私はこっちです。みたいな事書かなくちゃ彩音と間違われる!!』
急いで書き足して。そして完成した手紙には可愛い四つ葉のクローバーのシールを貼り付けて
その手紙を満足しながら私は見つめていた
宛先は『Dear 雪』雪の後ろにはハートをピンクのペンで書いてみた
それが何故か可愛く見えて私は一人ニヤけていた
『あぁ~雪が連絡してくれたら…マジ…死んでもいいかなぁ』
と、私は手紙を胸元に両手で抱えながら踊りだした
今、思えば
前は《嬉しくて死ぬ》だったのに
今は《悲しくて死ぬ》になるなんて…
当時の私にはまだ…分からなかった
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