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「雪~?例の子、連れて来たよ?」
ドアの前で碓氷さんがそう言うと
「あ…入って?」
ドア越しで雪の優しい様で少し冷たい声が聞こえた
そして碓氷さんがノブに手を掛けた
――――ガチャッ…
私は俯いていた顔をあげると、そこには複雑そうな表情をした本物の雪と…興味津々に私を見ている青の姿が見えた
やはり間近で見ると二人の格好良さは別格で、輝いて見えた
「君が…水無瀬 綺羅ちゃん…?」
雪に私の名前を呼ばれると私の心臓が跳ねた
多分…今の私は顔が真っ赤に紅潮している
『え…あ、はい…』
あまりに恥ずかしくて俯いてしまった…
そんな私に静かに青が近づいてきた…
「ねぇ!!プリクラで綺羅ちゃんの隣に写っていた子、今日一緒に居たでしょ?」
急に青が私の肩を掴んで叫んできた
最初私は何を言っているか理解出来なかったが、ようやく理解した。
手紙に貼ったプリクラの事を言っているのだ、と
「え、はい…居ましたけど…何か?」
私がそう言うと、青の表情が一気に明るくなり、眩しいって程の笑顔を見せて後ろを振り向いた
「雪ーーーーーー!!」
青が雪目がけて走ると雪を抱き締めた
なんか凄く青が憎く感じた…仲良いんだね。
「よかったな」
雪が青の背中を叩くと優しく微笑んだ
そして青の背中に回していた手を離して私の方を見た
目が合って雪は微笑みながら私の方にゆっくりと足を進めてきた
―――――カツ…
――――カツ…
―――カツ…
足音が近づく度に胸が跳ねる
恥ずかしくて目をギュッと瞑り俯いた。
しかし足音が止んで
「綺羅ちゃん」
私の上から綺麗な低く冷たい感じの声が響いた
私は動作が停止して…瞬きも出来ないで固まっていたら手に温かみが感じて手の方を見た
恐る恐る顔を上げた
「これから打ち上げがあるから、友達呼んで行きませんか?」
雪は私の手を握って私の目の前で笑ってそう言った
『~っ…!!』
目の奥が熱くなって
鼻がツンってなって
目尻に涙が溜まり、頬を伝って涙が零れた
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