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器用にプリントと磁石を動かす亜梨沙に透は感心しつつも、ふとある事実に気がつく。
「…あれ?副会長は?」
そう言って生徒会室を見渡すも、その姿はどこにもない。
透率いる生徒会は、先の三人に加えて一人――、副会長の七桐青葉で全員である。
ところが、いつもなら真っ先に生徒会室に来ている青葉が、今日はまだ見当たらない。
「亜梨沙ちん、何か聞いてる?」
透の不安げな問い掛けに、亜梨沙は小さく首を横に振った。
「あたしがクラスを出たときはまだⅤ組はホームルームやってたみたいだったし、メールも来てない……ね。うん。」
喋りながら携帯をチェックするものの、青葉からのメッセージはない。
「午後の合同実習のときはいたし、元気そうだったんだけどなー。」
亜梨沙は携帯をパチンと閉じると、少し困った顔でそう言った。
一瞬、静かになる生徒会室。
「俺みたいに居残りだったりして?」
そんな透の発言を全員が否定するのと、青葉が生徒会室に入ってきたのは、ほぼ同時であった。
その、長い黒髪を、わずかに怒りのオーラでなびかせながら――。
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