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「補習はどこかの生徒会長さんの特権でしょ?私には必要ないわ。」
その皮肉のこめられた口調に、透は慌てる様子もなくドアの方へ振り向く。
「おっ、噂をすれば副会長!」
「遅刻だなんて珍しいね。どしたの?」
透に合わせるように、亜梨沙が尋ねる。
「ん、別に大したことじゃないわ。遅れてごめんなさい。」
青葉は、透ガン無視で亜梨沙に優しく微笑み返すと、サッと席に座った。
どうやらまだ青葉は透と馴染めていないらしい。
…いや、馴染む気がないというのが正解か。
「補習じゃないなら居残り掃除か、先生からの呼び出しか……。」
一方、透はいまだ青葉の遅刻理由を考えているらしい。
そんなことを考えたところで何も得はないのだが、そこは人一倍好奇心の強い透である。
気になりだしたら、満足するまで止まらない。
だが。
現在、思考の対象となっているのは、そう、七桐青葉。
ただでさえ噛み合っていない、というか一方的に青葉が透を毛嫌いしているにも関わらず、いつまでたっても透が青葉の遅刻を気にしているとなれば――、
「だからッ、教室に忘れ物したから探してたって言ってんでしょ!そんなことアンタにイチイチ言う必要ある!?第一、私が補習やら居残り掃除やら呼び出しやら、されるハズがないでしょ!」
と、いつも通り青葉のキレる声が生徒会室に響き渡るのであった。
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