プロローグ

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空には丸い月が浮かぶ夜の暗闇。       時間は夜中の3時を回っている。     そんな夜中に黒いコートをはためかせ建物の屋根から屋根へと跳び移る人影があった。   風を切り、何よりも速く動くその影の動きは明らかに人間のソレを越える。 そして影はそこらで一番高いビルの上で止まった。       立ち止まった人影は月明かりに照らされ、ハッキリと男の顔があらわになる。 その顔は夜の静かな空気にふさわしく凛とした綺麗な作りだ。   「………どこにいるんだ……」   そう呟き、下の所狭しと立ち並ぶ建物を銀色に輝く双眼で見渡す。   「見付け出す……必ず……」   固い決意を言葉に込め、長い黒髪を風で揺らしながらその男は再び夜空に消える。   大事なモノを探すために……
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