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「おい!!いるんだろ?出てこい!」
――うるせェよ…魔人…!!
――――――――――――――
人生、何があるかわからなものだ。
生まれてくる時から決まっていた、自分に一番適しているもの。
いわゆる才能ってやつ。
これをみつけられるのは、極僅かだと聞く。
まさか、みつけられるとはな。
――こんな
――――俺が
―――――――――――――
風が吹き抜け、桜が少しずつだが散っていく。
今は春。入学式ってところだ。
入学する生徒たちは緊張と不安、そして期待に満ち溢れている。
だが、俺にはどうでもいいことだ。
高校生活、新しい環境、出会い…全てがどうでもいい。
どうせまた、変わらない。
どこに居ても、周りの奴らは同じことを言ってくるのだから…―
『世界を救え。クロウ・セブルス』
俺の父、ドウガ・セブルスは、17年前に世界大戦争を止めたグループのリーダー――
すなわち英雄と呼ばれている。
そして父は俺が生まれて少したった頃、死んだ。
何者かに暗殺されたんだ。
そして今――
この世界はまた戦争をしている。
しかし、17年前の戦争とは違う。
地上の国同士が争っている訳ではない。
地球が戦っているのは対界。
対界とは、動物の特徴を持ち、魔法を使う人種…魔人が住んでいる世界のことだ。
そして俺は、英雄の一人息子。
俺も父と同じことができると、世間の奴らは思いこんでいるらしい。
父のように、世界の為に戦えてと、みんな言う。
正直、最悪の気分だ。
俺は世界がどうなろうがどうでもいいし、俺が戦う理由は、襲ってくる魔人がただウザいからだ。
何より嫌なことは―…
父さんの影を重ねられること。
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