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ゴソ……ゴソ……
ゴソ……ゴソ……
「ん……」
部屋の中にある自分以外の気配、消そうとしても消しきれぬ衣擦れに太一は虚ろながらに目を覚ました。
が、虚ろな瞳は瞬間的に覚醒される。
「っ―――!!」
ドサッと大きな荷物が床に落ちた。
温かそうな赤い服
たくさんのモノが入っているであろう大きな袋
長くのびたヒゲ
見紛う事なきサンタクロースがそこにいた。
この時の太一の喜びは世界のどんな文豪でも表現出来ないだろう。
眠りによって最深部まで押し込められた視神経が瞬間的に体中を駆け巡り、行き場を失った感情は歓喜となって声をあげ――
「サ―――」
「黙れ、殺すぞ」
――歓喜の対象であるサンタクロースの手によってそれを封じられた。
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