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「刑期が短くなんのよ」
「……?へぇ……」
太一には難しくてよく分からなかったが、もし相手が太一ではなく、大きいお友達であったなら卒倒していてもおかしくない。
――刑期が短くなる
つまりこのサンタは刑期を与えられる事をしでかしたのだ。
意味が分からない太一には幸か不幸か分からないが、余分な水分を放出しなかっただけ幸せなのかもしれない。
「じゃあ、オジサンは頑張ってる人なんだね!!」
「……頑張らないと一生刑務所だからな」
……伝わった。今度はどうしようもないくらいに伝わってしまった。
『いい?太一……悪いことをすると刑務所に入れられてしまうからね……』
母親との懐かしい思い出が囚人サンタに侵食されていく。
「たまたま街を逃亡してたら警官に囲まれてなぁ……もうダメだ!と思ったらスカウトされてよぉ……心機一転頑張らないとな!なーんて思ってた矢先にこんなミスを――」
自身のいきさつを懐かしむように話すサンタ。
開き直って気分が良くなってきたのか、弾んだ声で太一に振り返る。
――太一は脱兎のごとく逃げ出していた
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