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ありきたりな日常は消え否日常が始まりを迎えた今日、俺は何も考えず町を走り逃げ回った。
妹と二人で生き抜くために『寄生者』達から逃げ回った。
「なんでこんな事になったの…」
路地裏に身を潜め一時間が経とうとしていた時、不意に麻音が口を開いた。
「さっきまで…ほんのさっきまでいつも通りだったのに」
今にも泣きだしそうなくらい声を震わせてそうつぶやいた
「みんな死んじゃった…友達もご近所さんもおばあちゃんも、みんな、みんな…」
「………」
何も言えなかった
誰だってこんな状況になって普通でいられる訳無い、だけど泣いていてもどうにもならない自分は無理をして泣かないようにした、本当は今すぐにでも泣いてしまうのではないかと思っただが俺がそんな事ではダメなんだ
俺が麻音を守らなければならないんだ。俺が強くならなければ…
俺は何も出来ない、だからこそ麻音の震える体を抱きしめた。
そうやって妹の不安と恐怖を少しでも和らげてやる事くらいしか出来ないから、なんとも自分が非力で無力な存在だと念い知らされた。
麻音は俺のジャケットを力いっぱいにぎりしめ涙で濡れた顔を体に埋めて泣いた、必死に泣きたいのを我慢してここまで逃げてきたんだ、どれほど怖く辛い思いをしたのだろう。
「もう、我慢なんてしなくていいから…泣いていいんだぞ」
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