吸い殻の街

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 【club 美麗】 そう書かれた看板の店に、音原 茂 は取引相手を呼び出したらしい。 街の情報屋から聞いた〈たしかな〉情報だ。   要するに、金次第でどんな秘密も秘密でなくなる…。  しかし最近じゃ、ずいぶん若い娘が夜の店で働くようになったもんだ…。 さっきから店先で、客を見送る女たちの高い笑い声が耳に障っていた。 帰ってゆく客たちの締まりのない顔をみれば、ココがどんな店かは容易に想像できた。 …と、そのウチの一人が車道を渡り、俺の方へ走って来るのが見えた。 「…ごめんなさい‥なかなかお客がきれなくて…ずいぶん待ちました?」 「え?…ああ、べつに」 俺を誰かと間違えているのか? 「あーゆーサイトって、結構ヤバい系の人とか来るっていうからちょっと心配だったけど、おじさんなら平気そう」  そう言って笑う顔は、どう見てもまだ15~16歳くらいに思えた。 どうやら俺を、出会い系サイトか何かの相手と勘違いしているらしい。 
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