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パパとママが死んじゃって全部自分達でやっていかなきゃいけなくて必死で身につけた生活の術がこのバイトだった。皆、顔しか見ない。性格を知ると暴言を吐いて逃げ出す。だったら利用し切って捨てた方が有益だと判断した。
「向日葵ちゃんもそういうことしてんの?」
魁皇の言葉に思わず睨む。
『は?そんな器用なこと出来る子じゃないの分からない?それに、出来てもさせないわよ。向日葵には純粋なままでいてほしい。椿ちゃんも花屋でまともに働いてるわ。』
汚れるのは自分だけでいい。ずっとそう考えている。
「ふーん、じゃあ俺の世話も仕事?」
冷たい目のまま魁皇が聞く。
『いいえ、江藤先生からはお金とらないの。椿ちゃんの同級生だからね。昔からよくしてくれたし。他の先生とは扱いが違うのよ。他の先生だったらお金取ったかもね。まあその前に引き受けないだろうけどね。椿ちゃんの怒り買うような真似はしたくないよ。』
そう言うと魁皇君は笑い出した。
「いいね、正直で。家のこととか考えないの?上手く行ったら玉の輿なのに。そしたら稼がなくていいだろ?」
あー、ウザイ。内心ごちる。椿じゃないがあんまり佐原グループが好きじゃない。
『家柄に胡座掻いてるような男に興味ないの。それに、継ぐのは長男でしょ。佐原グループの子会社なんて欲しくないわ。』
キッパリ告げる。
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