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「佐原魁皇(かいおう)です。よろしく。」
翌朝職員室で転入生に引き合わされた。
『一条桜です。よろしく。』
にっこり外交用の笑顔で挨拶する。ヘラヘラしたやつというのが第一印象だった。顔がいいのは認めるが興味はなかった。
「桜ちゃんー!!」
廊下を佐原と歩いていたら向日葵が飛び付いてきた。
『向日葵!びっくりするじゃない。あ、佐原くん、これ妹の向日葵。向日葵、転校生の佐原くん。』
向日葵に佐原を紹介する。
「うちにも佐原くん来たよ!今案内してるの。」
向日葵の後ろから男子が出てくる。
「魁皇兄さん?」
男子が佐原に声をかける。知り合いのようだ。
「あー、これうちの弟の龍皇。向日葵ちゃん、よろしくね。」
挨拶する佐原に向日葵が無邪気な笑みを見せる。
『向日葵、椿ちゃんに言わないのよ。』
コッソリ囁く。椿ちゃんは佐原グループが大嫌いなのだ。両親を殺したのが佐原グループの子会社の社員だったのだ。
「どうして?」
キョトンと向日葵が首を傾げる。
『だから、佐原くんはあの佐原グループの御曹子なんだよ。椿ちゃん暴れちゃう。』
小さい子に言い聞かせるように説明する。
「ああ、そうだね。じゃあ秘密!」
無邪気な笑みを浮かべる向日葵と指切りをしてそれぞれの教室に向かった。
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