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『佐原くん弟さんとそっくりなんだね。驚いちゃった。』
教室に戻り社交用の笑顔で言う。
「魁皇でいいよ、俺も桜ちゃんって呼ぶし。兄貴も似てるよ。桜ちゃんも向日葵ちゃんも美人さんだよね。違うタイプだけど。」
魁皇が爽やかに笑って言う。慣れた言葉にお決まりの言葉を返した。
『向日葵は可愛いよ。美人なんて言うのは椿ちゃんの方が合うわ。あ、椿ちゃんって私の姉ね。魁皇君のところも三人兄弟なの?』
佐原弟が名前で呼んでいたところからすると上にもう1人いるのだろうと聞く。
「ああ。鴻皇っていうんだ。うちみんな名前に皇って字をいれるんだ。偉そうだよな。」
魁皇が苦笑する。
『カッコいいと思うよ!うちは花の名前なんだ。冬生まれの椿ちゃん、春生まれの私、夏生まれの向日葵。家が花屋をやってるから花の名前なんだ!』
パパとママが付けてくれた大事な名前だ。自然と笑顔になる。
「桜!」
その時また男が寄ってきた。
『なに?』
「今日の昼いい?」
面倒くさいと吐き捨てる。
『多分無理。魁皇君の案内しなきゃ。』
桜の答えに男はカッとなる。
「名前で呼ぶなんてどういう関係だよ?」
彼氏気取りでウザいと笑顔を消す。
『何にもないよ。いちいち勘繰らないでくれない?そういうの鬱陶しい。』
「な…マジで性格悪いよな!」
男は逆上する。
『そんな女選んでるのはそっちでしょ?逆ギレるのやめてよね。いい迷惑。ただの客のくせに。』
そろそろ切り時なのでこの際と思いきり酷いことを言う。
「顔がいいからってざけんなよ!!」
男が殴ろうとしてきたので構えようとしたら男が吹っ飛んだ。魁皇が殴ったようだ。
「女の子に手上げるんじゃねーよ屑!!とっとと失せろ!」
野次馬が集まり出したので慌てて魁皇を連れて逃げた。
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