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「笑うな~っ」
新の二の腕を軽く叩きふぃっと顔を背ける
新の笑い顔に、少しドキッとして顔が赤くなった
暗闇に紛れて分かる訳ないけど…
「すいませんって……で、何の考え事?」
未だに笑っている新を見て、すっと空に指を差した
「…雲」
「雲?…蘭さんは雲でそんな深刻な考え事が出来るんですか?」
あたしの指が差した空をゆっくりと眺め、新は呟いた
「まぁね、」
あたしは立ち止まった
新もすぐ立ち止まる
「蘭さん?」
「ずっと流れて行くんだよ。止まらない」
急に真面目な顔をする蘭を見て新は自転車を止めて蘭に近寄った
「…蘭さん」
「昔見たいに、…戻れる訳ない」
あたしの目からは一筋の涙が溢れ落ちた
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