『アラウネ』

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 男は一体何者だったのか、今更ながらにどうでも良い疑問が頭を過ぎる。  ぬいぐるみを男に譲らなければ、良かったのだろうか。 「今までお前を、災難から護っていたのに」  それはぬいぐるみが放つ哀しい悲鳴のようで、聞いていられないように耳を塞ぐと。  ぬいぐるみはその行為にすら腹を立てたのか、闇を増して俺を睨んでくる。 「助け、て……」 「あれは労せずしてお前から福を奪い取った、悪魔」  ぬいぐるみは俺の言葉に反応せず、男の正体を明かす。
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