『輪入道』

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 償えるものは、代償になるものはこの命だけなのだ。  どんな言い分があろうとも、俺は既に死刑に値する罪を、犯してしまったのだから。  今は暗く、狭い監獄の中で座っている。  何をする事も無く、ただ……無為に時間が過ぎていく。  正座をしながら、運命の時間まで精神を統一しようとする。  ……俺があの階段を上るまでの時間は、もう少ない。  看取が呼びにくる、運命の時はもうすぐそこだ――。  逃れる術は、もう無い。  否、逃れるつもりは毛頭無い。
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