姫のウタは小鳥を殺す

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やがて曲が始まりアリスが歌い出した。 テンポのよいリズムと高い声が絡み合い、結晶の様に歌を成して行く。 それにしても、直感と言うのだろうか。 英志は小さな画面に映される明らかに自分より幼い少女に、狂気じみた"何か"を感じていた。 それは見慣れない長く美しい髪のせいでもあったし、拘束され自由を奪われた純白の姿のせいでもあっただろう。 あるいは生々しく縦に走る、胸の大きな傷跡だったのかも知れない。 しかし、所詮全てはただの飾りであり、この禍々しさの理由にはなり得なかった。 "何か"があるのだ。 もっと決定的で、神秘的な程洗練された狂気が。 「子供がふざけて作った歌みたいだろ。これは"アイスクリームの呪い"って曲で、夏休みにサーティーワンのアイスを1種類ずつ食べてたら9月になって腹を壊したって話。他の曲も結構あるみたいだけどな」 英志は晶の話をうわ言の様に聞き流した。 晶の言葉など、英志には届かない。 いつの間にか英志は取り付かれた様にひたすら画面を見つめ、アリスの甘い、あまぁいヴァニラの声に聞き入た。 すでに、晶の話などどうでもよかった。  
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