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大塚英志がアリス@を知ってから1週間程が過ぎた放課後、森泉晶はいつも通り部活に急いだ。
晶に別れを告げた英志は、バイトが休みだったので、何事もなく家に帰るつもりでいた。
家に帰れば親がいるだろうが、特にこれと言ってすることがある訳ではない。
暇だった。
努力をしない奴は1人なんだなと、改めて感じた瞬間でもあった。
しかし、まるで他人事。
晶はああ見えて結構真面目な方だから、ふざけていてもやる事はしっかりこなす。
正直、そんな晶を羨ましいと思う。客観的に見たら俺はどうなんだろうなと、英志は考えてみた。
同じ様な奴等は至る所にいる。だが世間から冷徹な目で見られるのを、そんな理由で言い逃れ出来る訳がなかった。
人の視線など気にせず自分のやりたい事をしていればいいはずなのに、そんな事すら出来ない自分がやけに虚しく感じた。
それは、晶に対する劣等感でもあった。
同時に嫉妬でも、自己嫌悪でもあった。
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