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エレベーターの中には誰もいない。
つまり、英志とアリスは2人きりだった。
互いの存在をより確かに感じる時間。
英志はアリスを、きっとアリスも英志を、自然と意識してしまうだろう。
いや、意図的に?
果たしてこの状況下において、2人は相手に対し興味を持たずにいられるだろうか。
興味、探求、その類い。好奇心を持つ事は人間として快楽を求める行為である。つまり、自らの快感の為、意図的に行われる事だと言えるだろう。
例えどんなに日常とかけ離れた生活をしている人間でも、相手への感情などいくらでも尽きないものだ。
すなわち、人として本能に従う行動、および言動は、結果として自身の為に意図として行われる行為であるのだ。
英志は注意深くアリスを気配で探った。
アリスは思ったよりも小柄で、ちょうど英志の肩の位置に頭があった。英志は決して長身ではないが、同年代の平均身長よりは確実に上回っていただろう。
身長差からもそうだが、自分より小さい女の子に服従してるのは、どう見ても不自然な光景であろうと英志は思った。
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