序章

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よく考えれば、これ程他人と確立した世界は無い。 何処よりも理想的で、何よりも情報を操作でき、誰よりも孤独で愚か。 結局、こんなもんなんだよ。 人って言うのは。 いつだって、どんな時代だって、所詮人は他人の心に踏み込めない。 うわべでは何と言おうと構いはしない。 そう考える人間はどれだけいるのだろうか。 ほんの一握り、人は誰だって幸せを共感しあえる? それどころか、こう考える人間こそ大半を占めてるに決まってる。 世界平和なんて誰も真面目に考えてなんかないし、一つだけ願いが叶うなら私利私欲に使うのか道理ってものだ。 本気で世界平和を願うのなら自分の死が一番妥当なんだから。 そう、この世界は孤独だ。 正に機械の中の様に、人々の心の様に。 ……そんな現代の人間は 死の 本当の意味を知らない。 それはいつまでも変わらずに成長し、いつまでも幼稚な生き方をするだろう。 そして余りにも稚拙な死を迎え、しかし世界は何一つ変わる事なくますます汚れて行くのだ。 まるで…… 翼を失ってなどいないのに、いつからか地を這い生きる様になった鳥達の様に。 そして俺もまた…―――
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