姫のウタは小鳥を殺す

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「まだあんま知られてないんだけどさ、絶対来る!そのうち話題になるって」 晶は熱のこもった口調で話し続ける。 「誰?」 「"アリス@"って歌手。でもコレ……"@"って何て読むんだろうなぁ?」 首をかしげ、画面に映し出される文字を晶は難しい顔で覗いた。 友人の真面目な表情を隣りで見ていた英志は、そんなに真剣になる事じゃないだろうと思ったが、あえて口に出さない事にした。 「読み方わからないのか?」 「ああ。それがさ、多分決まってないんじゃないかって。やっぱ"アットマーク"が一番多いかな。"アット"とか"エー"とも呼ばれてるけど。とにかく、突然現れて、まだまだ謎が多いって訳」 正体不明なんて、いかにも怪しいが、これだけ情報収集能力に優れた晶が言うのだから間違えはないだろう。 画面は次のページに飛び、今度は動画を再生した。 異常に盛り上がる観客の群が、ステージのアリスをまるで王女の様に崇め、敬う。 アリスはこの空間の支配者であり、完全なる彼等の主となっていた。  
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