約束

4/4
前へ
/12ページ
次へ
「あ、ありがとうございます!」 男が行ったのを見てから、私は男子にお礼を言い、頭を下げた。 「礼なんていいよ。それより、悪かったな」 「え?」 男子の言葉を聞いて、私は顔を上げた。 「10年以上も待たせて」 「ま、さか…」 「久しぶり、光」 「海斗…」 ちゃんと、来てくれた…。 10年以上も前の約束なのに…。 ちゃんと、覚えてた…。 「ごめんな。こんなに遅くなって…。それと、ありがとう。覚えててくれて」 そう言って微笑んだ海斗は、昔と全然変わってなくて…。 私は思わず、涙を流した。 「お、おい…。泣くなよ…」 そんな私を見て、海斗は慌て始めた。 「だって、海斗が変わってないのが嬉しくて…」 「…だぁ!泣くな!」 「ブッ!」 泣いてたら、海斗に何かを投げつけられた。…顔面に入った。 「何?これ…」 私は投げつけられた物を見ながら、鼻を押さえた。 それは小さな箱で、その角が鼻に当たったのだ。 「やる」 海斗を見ると、寒さのせいかわからないが、頬がほんのり赤かった。 「ありがと…。開けていい?」 「ん」 私が訊くと、海斗は短く返事をした。 「わぁ…」 開けると、中からはキラキラと光る、ブレスレットが出てきた。 「女子の好みなんかわかんないから、適当に買ってきた」 「ありがとう。大切にする」 「それと…」 「?」 ブレスレットから顔を上げると、海斗は真っ直ぐに私を見ていた。 「好きだ」 「ぇ…?」 「子どもの時から、ずっと好きだった。付き合ってくれ」 海斗の目は真剣で、私はその目を見ながら、また涙を流した。 「私で…いいの?」 「光が、いいの」 「嬉しい…」 「で、返事は?」 そんなの、決まってる。 「よろしく、お願いします」 「よっしゃ」 海斗を見ると、ガッツポーズをしていた。 「あ、雪だ…」 「本当だ…」 空を見上げると、ふわふわと小さな雪が舞い降りていていた。 「サンタからの、プレゼント…、かな?」 「かもな」 そう言って、2人で笑った。 『サンタさん、なにをくれるのかな?』 サンタはね、素敵なクリスマスをくれるんだよ。 ね、海斗。 Happy&Merry Christmas
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加