それから

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☆☆☆☆☆ 「最悪…」 放課後、彩と帰りながら、私はポツリと言った。 「まぁ、あれは光が悪いね。なんたって、“学校一怖い松田先生”の授業中に考え事だもん」 すると、彩は途中のコンビニで買った肉まんを頬張りながら言った。 てか、その細身のどこに肉まんなんて入るんだよ…。 「で、今年も行くんでしょ?」 「どこに?」 急に話題を変えてきたから、私はキョトンとして彩を見た。 すると、彩は盛大にため息をついてから言った。 「クリスマスよ、クリスマス!」 「…………あぁ!」 言われてやっと気がついた。 あ~、もうそんな時期か…。 そう考えると、妙にしみじみしてしまう。 「忘れちゃ駄目でしょ。大事な約束なんだから」 彩は知ってる。私が毎年駅前に行っていることを。 「大事って言っても、子どもの口約束だし…。それに、あっちは忘れてるかもしれないし…」 考えてみると、確かにそうだ。 小さいときの、口約束。しかも、10年以上も前の…。忘れてないとは、言い切れない。 「それでも、光は毎年行ってるんでしょ?」 「うん…」 子どもの口約束だとしても、約束は約束だし…。 「じゃあ、今年も行くでしょ?」 「まぁ…」 そりゃあ、毎年行ってるから、もうすでに恒例となってるけど…。 「よし。わかった。じゃ、今年もイブの日にね」 「あ、うん」 「じゃね~」 「じゃね~…」 彩は言うだけ言うと、角を右に曲がっていった。 ったく。いっつも強引なんだから…。でも、それが彩の良いところだったりするんだけどね。 私は、少し彩を見送ったあと、家路についた。
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